maclalalaweblog

2007年 2月 20日

ことばか、それともメッセージか

Filed under: その他,ひと,プレゼンテーション,映像 — shiro @ 20:31

Jobsmwsf

プレゼンテーションという意味では、Steve Jobs と Bill Gates の二人は格好の題材だ。

少し前になるが、二人のキーノートを科学的に比較分析した試みがある。

Seattle PI:”Bill Gates and Steve Jobs: Keynote text analysis” by Todd Bishop:1月14日

      *      *      *

科学的なテキスト分析

アップルの CEO Steve Jobs とマイクロソフトの会長 Bill Gates の二人は両方とも、先週すごいキーノート演説を行った。それを比べてみるとどうだったろうか。ある読者にヒントを得て、二人のスピーチのテキストを「タグクラウド発生器」(tag-cloud generator)を通してみた。これは何度も使われたことばに着目して、使われた頻度に応じていろいろなサイズで示すソフトだ。

Apple CEO Steve Jobs and Microsoft Chairman Bill Gates both gave big keynote addresses last week. So how did their messages compare? At the suggestion of a reader, we ran the text of both speeches through the tag-cloud generator, a program that displays the most commonly used words in varying sizes, depending on how often they’re spoken…

またお楽しみとして、UsingEnglish.com の言語評価ツール(language-assessment tools)を使って同じテキストを分析してみた。各数字の前の用語名をクリックするとその定義が分かる。一般的には、数字が低いほど理解しやすいということを意味する。その尺度で測ると、ひとりの役員[注:Steve Jobs]の方がもうひとり[注:Bill Gates]より遥かに優れていることが分かる。

And just for fun, we also analyzed the text with the language-assessment tools at UsingEnglish.com. Click on the names of those ratios below for definitions. Lower scores generally mean that the language is easier to understand. By those measures, one executive did noticeably better than the others.

      *      *      *

分析結果

我々が得た結果はつぎのとおり・・・

Read on to see what we found:

Steve Jobs2007 Macworld Conference and Expo

一文中の単語数:10.5

語彙頻度:16.5%

難語数:2.9%

読みやすさ指数:5.5

Avg. Words/Sentence: 10.5

Lexical Density: 16.5%

Hard Words: 2.9%

Gunning Fog Index: 5.5

Jobscloud

Bill Gates2007 International Consumer Electronics Show

Gatesces

一文中の単語数:21.6

語彙頻度:21.0%

難語数:5.11%

読みやすさ指数:10.7

Avg. Words/Sentence: 21.6

Lexical Density: 21.0%

Hard Words: 5.11%

Gunning Fog Index: 10.7

Gatescloud

      *      *      *

なかなかおもしろい分析に見えるが、これに対しては、本当のプレゼンテーションとは何かという観点から批判がある。

真に偉大なプレゼンテーション(スピーチ)には、ことばだけでなくメッセージが込められていなければならないというのだ。

Presentation Zen:”Words matter, but the message is King” by Garr Reynolds:1月16日

      *      *      *

Seattle PI の分析

世界中の偉大なことばを集めても、聴衆に訴えるものがなく、彼らに対して有意義なものでなければ、それは意味がないのだと我々は知っている。では、ことばそのもの、文章自体はどうだろうか。どれだけ「むずかしい」ことばを使ったか、センテンスの長さはどうだったか、そんなことは重要だろうか。もちろんことばは重要だ。しかし[通常の場合]もっと重要なのは、メッセージであり、組み立て方であり、話し方であり、内容であり、聴衆との連帯なのだ。ところで、Seattle PI がおもしろい記事を載せている。マックワールドの Steve Jobs と CES の Bill Gates(と Michael Dell)のキーノートを、その演説原稿を使って分析したものだ。

We know that the greatest assembly of words in the world does not matter much if it does not register with the audience, if it is not meaningful to them. But what of the words and the sentences themselves? Does it matter how many “difficult” words you use, how long your sentences are, and so on? Words matter of course, but it is the message, the structure, the delivery, the story, the connection, etc. that matter more (usually). Still, Seattle PI has an interesting post comparing the recent keynotes by Steve Jobs at Macworld and Bill Gates (and Michael Dell) at CES using an analysis of their respective keynote transcripts.

      *      *      *

単純で分かりやすいのがいいことか

とくに驚くような結果ではないが、はっきりいってあまり意味があるとは思えない。結果は確かにおもしろい。(なんと、Gates は “Windows” とか “Vista” と何度もいい、Jobs は “iPhone” や “Phone” と何度もいったそうだ・・・。それがキーノートのテーマだったのだから驚くには当たらない。)1文当たりの単語数、語彙頻度(lexical density)、3音節以上の単語の数などを見ると、Steve Jobs の方がより単純な話し方をしているように見える。ということは、比較的単純なことばを使っているせいで Jobs のプレゼンテーションがおもしろく、記憶に残り、楽しいということを意味するのだろうか。単純で、分かりやすいことばと、聴衆に訴える力との間には相関関係があるのだろうか。・・・

The results are not particularly surprising, though frankly they are a bit meaningless. It’s fun to look at the results (man, Gates sure did say “Windows” and “Vista” a lot, and Jobs sure said “iPhone” and “Phone” often…hardly surprising since that was the focus of the keynote). If you look at the average words per sentence, lexical density, number of words with three or more syllables, etc. then it appears Steve Jobs had a much simpler talk. So Jobs’ popular presentation was so interesting, memorable, enjoyable, etc. because the language he used was relatively simple? Is there a correlation between simple, easy-to-understand language and impact on an audience? […]

      *      *      *

偉大で、伝説的な演説

King

少なくともとても分かりやすい例のひとつを思い出すことができる。書かれたテキストを分析する限りでは、Jobs や Gates(そして Dell)のプレゼンテーションよりも「難しい」が、大聴衆にとっては分かりやすい(国民を動かすほどになった)有名なスピーチだ。回りくどいいい方をしてしまったが、今日はマルチン・ルーサー・キング Jr. 博士の誕生日だと申し上げたかったのだ。アメリカの歴史上もっとも偉大な演説のひとつ、「私には夢がある・・・」(I Have a Dream.)を語ったひとの誕生日だ。キング博士の演説を書かれた文章だけでお読みになると、心を動かされるかもしれないし、そうでないかもしない。しかし、ビデオで演説のすべてを見て、それでも心から感動しないひとがいるものか私には分からない。ことばの持つ意味と、内容の重要さが大事だということは分かる。しかし、信念の力と、誠実な話し方と、そしてキング博士が聴衆との間に築いた驚くべき連帯感こそが、この演説を伝説的なものにしたのだ。

However, I can think of at least one popular speech that was easy to understand by a mass audience — it even moved a nation — but that is “more difficult” than the presentations by Jobs and Gates (and Dell) if one analyzed only the written transcripts. Obviously this is a long-winded way of me reminding you that today is the birthday of Dr. Martin Luther king, Jr., the man behind one of the greatest speeches in U.S. history, “I Have a Dream.” If you just read the transcript of Dr. King’s speech you may be moved or you may not, but I don’t know how anyone can watch the entire speech on video and not be absolutely blown away. It is indeed the meaning of the words and the importance of the content, but it is the power of the conviction and the sincerity of the delivery and the amazing connection Dr. King made with the people that makes this a legendary speech.

少し時間を割いて、是非つぎのビデオをご覧になるようお勧めしたい。1963 年のワシントン行進「I Have a Dream」のビデオだ。全部で17分の長さだが、もし全部を見れないというのなら、最後の3分だけでもご覧いただきたい。素晴らしい!

I hope you can take a few moments today and watch this video of the “I Have a Dream” (March on Washington) speech from 1963. The video is 17-minutes long. If you are short on time, please at least watch the last three minutes. Amazing.

I Hava A Dream-1

YouTube Video:”Martin Luther King ‘I have a dream’“:2006 年9月5日

<前 | ビデオクリップ | 

      *      *      *

この有名な演説のさわりの部分だけは知っていたが、全部を通して聴いたのは初めてだ。

真に偉大なスピーチ(プレゼンテーション)を可能にする答えがここにある。

分析的手法、とくに統計的分析は、時として大切なものを見落としかねない。

      *      *      *

マルチン・ルーサー・キング Jr. 博士の演説については、このほかにもすばらしい記事がある。

Long Tail World:”キング牧師「私には夢がある」:I Have a Dream Speech“:2月28日

この歴史的演説を巡る背景の解説と、演説の完全日本語訳だ。

プレゼンテーションに関心を持たれる方は、是非こちらも併せてご覧になるようお勧めする。

<前 |プレゼンテーション| 次>

Technorati Tags: , , , ,

広告

4件のコメント »

  1. ご紹介ありがとうございます。LINK追加させていただきました。ちょうどこないだCNNが手書き原稿の特集を組んでいましたね。;

    http://www.cnn.com/SPECIALS/2007/king.papers/

    キング牧師は自分の中ではずっと学校の図書館に伝記が並んでいる「偉人」だったんですけど、ある日、同い年であることに気付いてなんとも言えない気持ちになりました。本当は怖かったんじゃないか、とか。緊張だってしてたんじゃないか、とか。もっと生きたかったんじゃないか、とか。

    訳は参考訳ですね、まだ穴だらけ。。。直さなきゃ駄目なんですけど、すみません、shiro氏も気付いたところあったら是非教えてください!ご紹介ありがとうございました-。

    コメント by satomi — 2007年 2月 21日 @ 13:58

  2. > satomi さん
    すばらしい演説を 訳してくださって ありがとうございました
    こういう積み重ねが たいへん重要なのだろうと思います
    文字になったものなら なんとかなりますが 音声だと どうしても satomi さんのような方の 手助けが必要です
    勝手に紹介させていただいて 済みませんでした

    コメント by shiro — 2007年 2月 21日 @ 23:10

  3. ゲイツvs.ジョブズ、WSJ主催D5で夢のステージ競演

    ささ、カレンダーに丸! ビル・ゲイツとスティーブ・ジョブズが米時間5月30日、…

    コメント by Gizmodo Japan(ギズモード・ジャパン) — 2007年 2月 22日 @ 11:10

  4. ビル・ゲイツとスティーブ・ジョブズがWSJ主催D5で競演

    Gizumodo Japanによればビル・ゲイツとスティーブ・ジョブズが米時間5月30日、ウォールストリートジャーナル主催「D5: All Things Digital Conference」が競演が実現するそうです。 「D5: All Things Digital Conference」このカンファレンスは毎年、世界のテクノロジー業…..

    コメント by its-web tool app index — 2007年 2月 22日 @ 12:38


RSS feed for comments on this post. TrackBack URI

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中