maclalalaweblog

2006年 10月 23日

YouTube ビデオの大量削除

Filed under: 著作権,YouTube — shiro @ 19:29
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日本から投稿された大量のビデオが YouTube から消えている。

たとえば7月16日に紹介した CHAGE&ASKA の「On Your Mark ジブリ実験劇場」は、つぎのような文言を残して YouTube サイトから削除されている。

このビデオは、著作権者の財団法人ヤマハ音楽振興会から、無断で掲載されているという指摘を受け削除されました。

This video has been removed at the request of copyright owner Yamaha Music Foundation because its content was used without permission

著作権保護の立場から言えば当然なのだろうが、ちょっと寂しくなった感じ・・・

削除されたビデオは約3万件、正確には 2 万 9549 件にもなるという。

「さあ始まった、YouTube が3万件のビデオを削除した」という Ars Technica の記事がその経緯をまとめている。

Ars Technica:”And so it begins: YouTube nukes 30,000 videos” by Ken Fisher:10月20日

      *      *      *

グーグルが YouTube を買収するずっと前から、ビデオ共有サイトの未来がどうなるのか問題だった。とくに、著作権侵害の問題は尾を引いている。YouTube は訴えの対象となるのか、実際に訴えられるかどうか。きれいになった YouTube は果たしておもしろいのか。最近グーグルが買収したことで、このサイトはこれからも著作権侵害の問題を提起する場となるのだろうか。

Long before Google swooped in to buy up YouTube there were questions about the video sharing site’s future. In particular, concerns relating to copyright infringement have persisted: can YouTube be sued, will they be sued? Will a sanitized YouTube be interesting? The recent acquisition by Google all but ensures that the site will remain under the infringe-o-scope of copyright holders for the near future.

日本音楽著作権協会(Japan Society for Rights of Authors, Composers and Publishers、JASRAC)によれば、YouTube はその歴史上初めて、大規模コンテンツ削除として約3万件のビデオを、日本の著作権所有者の指摘を受けて削除した。日本音楽著作権協会によれば、YouTube には日本の映画、ミュージックビデオ、テレビなどからとった著作権侵害にあたる 29549 のビデオがあったという。映像の削除を求めた中には、日本の放送大手 NHK もはいっている。

In the first major mass removal of content in its history, YouTube has removed nearly 30,000 videos after being contacted by a number of Japanese rights-holders, according to the Japan Society for Rights of Authors, Composers and Publishers (JASRAC). The group says that its members found 29,549 videos on YouTube that contain unauthorized materials taken from Japanese sources, including movies, music videos, and television.  Japanese broadcast giant NHK was among those seeking the removal of materials.

日本音楽著作権協会のスポークスマンによれば、権利侵害の発生を防止するため YouTube 自身が対策を講じるよう要求していくつもりという。通告を受けた場合、YouTube は対象となる著作権侵害ファイルを削除する法的義務があるが、著作権利者の中には YouTube ではなく自分たちがチェックしなければならないことに苛立ちを隠せないものもいる。

A spokesperson JASRAC said that they were also considering petitioning YouTube for a better screening process. Although YouTube is legally obligated to remove infringing material when notified, some copyright holders have expressed irritation at the notion that they need to police YouTube themselves.

同スポークスマンは、削除ビデオの数が多数に及んだことは、問題の大きさを示すメッセージだと語った。YouTube は米国内であればデジタルミレニアム著作権法(DMCA)の免責条項による保護(safe harbor protections)を与えられているとはいうものの、正当な権利者は、YouTube のようなサイトを鋭意検閲していても、無断で映像を掲載されることにより事業を阻害されることになると懸念している。

The spokesperson also suggested that the number of videos to be removed is meant to send a message that this is not a minor problem. Although the DMCA provides safe harbor protections for YouTube inside the United States, rights holders are still concerned that the posting of unauthorized material could hurt their businesses even when they are vigilant and police a site like YouTube.

      *      *      *

グーグルの YouTube 買収後、著作権侵害に対する最初の動きとして、コンテンツの大量削除要求が始まり、日本からの要請がその第一波となったと受けとめられているわけだ。

今回の削除要請をしたのは、つぎの23団体だ。

日本放送協会(NHK)、日本民間放送連盟、日本テレビ放送網、東京放送、フジテレビジョン、テレビ朝日、テレビ東京、テレビ神奈川、朝日放送、讀賣テレビ放送、東海テレビ放送、衛星放送協会、スペースシャワーネットワーク、放送大学学園、コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)、実演家著作隣接権センター(CPRA)、日本レコード協会(RIAJ)、日本音楽著作権協会(JASRAC)、日本映画製作者連盟、日本映像ソフト協会(JVA)、日本動画協会、全日本テレビ番組製作社連盟(ATP)、ヤフー

日本のマスメディア、著作権団体がずらりと顔を並べている。よく同一歩調をとれたものとびっくりするほどだ。

このリストを見ていると、ひとつの感慨がよぎる。

これだけたくさんのメディアや団体が集まったのだから、削除や禁止だけでなく、みんなが利用できる合法的な方法を考えてくれたらどんなによかっただろう、と・・・

違法なものが含まれていたとしても YouTube への投稿で、かつて一度は放送・上映されても、そのままお蔵入りしていた沢山の映像コンテンツに日本のユーザーが気付いたといえるのではないか。

折角のこの機会に、もっと開放的な映像コンテンツの利用のあり方(必ずしも無料でなくていい)が考えられてもいいような気がする。

とくに公共放送を名乗るものの責務は大きいのではないか。その意味で、過去の映像資産を公開した BBC の例は大変参考になりそうだ。(映像の宝庫:BBC Motion Gallery

禁止するだけでは、削除と投稿のイタチごっこが続きそうな気がする。

現に YouTube を検索すると、削除された筈の映像ファイルがまだたくさん残っていることに気付く・・・

      *      *      *

今回のビデオ大量削除については、つぎのような興味深い指摘もある。

CNET Japan:”日本の「著作権団体」による ‘Act Against YouTube’ は正しかったのか” by ふじたやすし:10月22日

CNET Japan の記事によると、日本の著作権関係 23 団体・事業者が動画著作物の削除を YouTube に要求した後、YouTube はただちにそれに応じてコンテンツの削除を実施したらしい。

この記事だけを読めば、著作権関係団体・事業者は、著作権者の利益にかなった行動を取ったようにも思える。しかし私は、「また悪しき前例を作ったな」という印象を禁じ得なかったのだ。・・・

今後もし日本のクリエイターが自身の作品、すなわち著作権物を YouTube にアップロードしようと試みた場合、そこに「著作権関係団体・事業者」が絡んできて「許可を申請しろ」「分け前をよこせ」と主張できる下地を作ったのが今回の事例である、というのは考え過ぎなのだろうか?

      *      *      *

参考:

・Ars Technica:”And so it begins: YouTube nukes 30,000 videos” by Ken Fisher:10月20日

・Macworld:”YouTube deletes 30,000 files on request by Japan” by Martyn Williams:10月20日

・BBC:”YouTube cuts 30,000 illegal clips“:10月20日

・BBC:”Goal footage warning for website“:10月21日

・New York Times:”YouTube Deletes 30,000 Files After a Copyright Complaint” [AP]:10月21日

・CNET Japan:”日本の著作権関係23団体・事業者の要請で、YouTubeが約3万の著作権侵害ファイルを削除“:10月20日

・ITmedia:”YouTubeが動画3万件を削除 日本のテレビ局やJASRACが要請“:10月20日

・AV Watch:”23団体が共同で「YouTube」に削除要請を実施“:10月20日

・IT-PLUS:”YouTubeへ日本の著作権者23社・団体が「一斉反撃」——3万ファイルを削除“:10月20日

・ZAKZAK:”ユーチューブ動画3万件削除NHKなど放送各社要請“:10月20日

・CNET Japan:”日本の「著作権団体」による ‘Act Against YouTube’ は正しかったのか” by ふじたやすし:10月22日

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