maclalalaweblog

2006年 9月 2日

アップル流マスコミ操縦術

top_secret

アップルの秘密主義について興味深い記事がある。

RoughlyDrafted Magazine:”Why Is Apple so Secretive?” by Daniel Eran Dilge:8月29日

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アップルの秘密主義

未発表製品に対するアップルの秘密主義は悪名高い。批判的なひとたちは、アップルの秘密主義をオープンソースプロジェクトの透明性と比較する。他の民間デベロッパと比較するひともいる。例えばマイクロソフトは、これまで将来計画については詳細なロードマップを示してきた。なぜアップルは将来計画を隠したまま見せないのだろうか。

Apple has long been notoriously secretive about its unreleased products. Critics compare Apple’s secrecy against the transparent development efforts of open source projects, and even with other commercial developers. Microsoft, for example, has a history of providing detailed roadmaps of future plans. Why does Apple keep its future plans under wraps?

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このあと、なかなか出ない Windows Vista と Mac OS X Leopard のまだ隠された部分(Top Secret Leopard Features)を例にとり、あるいはマイクロソフトの iPod キラー Zune(non-PlaysForSure iPod Killer)とこれから出るという噂の iPod(sixth generation iPod)の例をとりながら、秘密主義の功罪について考える。

なかなかおもしろいのだが、ここでは省略する。実はその後にくるアップルのマスコミ対策の部分が痛烈なのだ。マスコミのことを「飼いならされたサルたち」(Trained Monkeys)というのだからすごい。

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飼いならされたサルたち(Trained Monkeys

アップルイベントで発表される新製品は一つか二つだ。そうすれば、限られた少数の製品にスポットライトを当てることができる。例えばアップルは、WWDC でたくさんの製品がスピートアップ(speed bump)したことについてこまごまと発表することもできたが、そうしていたらプレスは何を書いていいか分からなかっただろうし、重要な点を見落としたかもしれない。

Each Apple Event only gets one or two new products, because that keeps the spotlight on a small selection of items. If, for example, Apple had released minor details of speed bumps across its various product lines at WWDC, the press wouldn’t know what to talk about, and would likely miss the important details.

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大同小異のイベント記事

もしあなたがこれまで「ジャーナリスト」とのお付き合いをせずに済んでこられたとすればお分かりにならないかもしれないが、あなたがご覧になるニュースの大部分は実は宣伝係が書いたものなのだ。今日のジャーナリストは、手渡されたプレスリリースを鵜呑みにして反復する以上のことはほとんどしない。あるイベントのニュースを読んでも、どれも同じように聞こえるのはそういう訳だ。

If you haven’t ever had the pleasure to work with “journalists,” you might not know that most of your news is actually written for you by PR flacks. Today’s journalists can’t be bothered to do much beyond regurgitate the press releases they are handed. That’s why everyone’s coverage of events pretty much sounds the same.

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サルたちにダンスをさせる(make monkeys dance

monkey_dance

アップルはこれをよく計算していて、どうやったらサルたちにダンスをさせられるか心得ているのだ。あまりエサを与えすぎないこと、あまり頻繁(ひんぱん)に与えないこともそのひとつだ。プレスにあまり沢山与えすぎると、メディアの連中はなんでもかんでも書いてしまうので[記事が]メチャメチャになってしまう。しかも彼らは、センセーショナリズムという新しいエサを求めてすぐ他の所へ行ってしまうのだ。

Apple has figured this out, and knows how to make these monkeys dance. Part of that is not feeding them too much or too frequently. Too much press feeding and the media just throws everything up in a big mess, then walks away to find fresh plates of sensationalism elsewhere.

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毎週ベースのアップデート

製品アップデートについては、今やアップルは毎週のペースでエサを与えるようになっていることにお気付きだろう。イベントの興奮が一旦去ってしまったら、今度は主要製品のスピードアップについて週の初めに発表する。次の週は、ほかの製品について、という調子だ。こうして iMac、ラップトップ、コンシューマ向けラップトップ、デスクトップと続く。

You may have noticed that Apple now releases product updates in weekly feedings. Once the excitement of an event has blown over, they release a speed bump for a major product line at the beginning of the week. The next week gets the next line, and so on for several weeks: iMac, laptop, consumer laptop, desktop, etc.

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そして暫しの沈黙・・・

ニュースが十分行き渡ったら、アップルは暫(しば)し沈黙する。世界が(あることについて、いやアップルのことなら何でも)ニュースを求めてパニック状態になるまで。そうなんだ、そうなったらまさにその時に、次のアップルイベントが巡ってくるのだ。

Once everyone’s had enough of Apple bumps, the company goes quiet for a while until the whole world freaks out and demands some type of news about something, anything from the company. Sure enough, right about then another Apple Event rolls around.

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野良犬噂系

アップルからよろこんでエサをもらって、アップルのために芸をする「真の」ジャーナリストのほかに、実は野良犬ブロガーもいる。彼らは芸はしないが、他人がくれるエサならどんなゴミにでも飛びつく。守秘義務のあるデベロッパやメーカーからなにか聞き出そうとしては、噂系サイトでイベントの興奮を煽り、自分たちへのアクセスが増えることを期待するのだ。

Beyond the real journalists who are happy to get fed and do tricks for Apple, there are the stray dog bloggers that don’t do tricks, and will eat any garbage that anyone might throw them. By trying to get details out of developers and manufacturers who have signed confidentiality agreements, these rumor websites only deflate the excitement surrounding an event for their own short term ad-click profit.

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コンシューマの失望

それはアップルにとっていいことではない。プレスから我が身にも降り掛かってくるのだ。一般顧客もまた期待を膨らませすぎることになり、本来ならばドラマチックなアップルイベントの興奮が、「なに!そんなこと知ってるよ」式の失望に変わってしまう。このことから秘密主義の風土が助長されて、技術産業で通常みられる秘密情報アクセス制限以上のレベルになってしまう。

That’s no good for Apple, and it rains on the dance they play with the press. It’s also deflating for customers, because the regular excitement they get from dramatic Apple events is converted into, “what? we already heard about that” style disappointment. This has contributed to the climate of secrecy above and beyond the normal level of confidential information access common in the tech industry.

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アップル ニュースという現実

アップルがプレスリリースを注意深く小出しにするもう一つの理由は、アップル自体が全国ニュースのヘッドラインの常連であるというアップルの特殊事情にもよる。いいニュースであれ悪いニュースであれ、アップルに関するニュースは即消費者が知りたがるものになっている。アップルからひっきりなしにいいニュースが出てこないと、レポーターはその間隙を埋めるため悪いニュースを作り上げてしまう。

Another reason Apple carefully prepares news for the press in small doses has to do with Apple’s unique role as a fixture of national headlines. Regardless of whether the news is good or bad, it seems that news about Apple is nearly an obsession for consumers. If Apple doesn’t constantly release good news, reporters will make up bad news just to fill the void.

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秘密主義の功罪

アップルの秘密主義は、コンシューマ製品に対する興奮を盛り上げるという意味で有利に働く一方、パートナーとの友好的関係を維持するという努力に対しては逆方向に働くこともあり得る。とくにオープンソースプロジェクトや法人顧客の場合がそうだ。次号以降は、アップルが自分たちの将来計画をもっとオープンにしようとしている最近の努力について触れてみたい。

While Apple’s secrecy works to its advantage in creating excitement for consumer products, the same secrecy can work against Apple’s efforts to working with partners, particularly in Open Source projects, and in dealing with corporate customers. An upcoming article will look at Apple’s recent efforts to adapt and provide more open information about their future plans.

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なんとも辛辣な記事だ。

そうだとすると、「飼いならされたサル」や「野良犬噂系」を追っかける自分は一体何なのだろうと考えてしまう。

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9件のコメント »

  1. いつも海外の話題を楽しく読ませて頂いて感謝してます。
     さて、今回の記事を読んで孫悟空とお釈迦様の出会いの場面を思い出しました。話は、傲慢な孫悟空が自慢げにあちこち飛び回っても実はお釈迦様の手のひらの上でもてあそばれていた「サル」にすぎなかったという有名なものです(細部失念)。
     で、この作者もそこまでAppleのやり方が嫌いなら無視すればよいのにシャカリキになっているところを見ると、すでにAppleの手のひらの上で悪態をついている「サル」になっているナと感じました(笑)。むしろ同レベルなのに他人をあざけっている分、より道化に近い気が・・・。(と、言っている私はもっと道化サル??)

    コメント by 頭文字S — 2006年 9月 2日 @ 13:52

  2. > 頭文字S さん
    誰が誰の手のひらにのっているのか むずかしいところですね

    コメント by shiro — 2006年 9月 2日 @ 20:38

  3. 情報を隠す人、それを追いかける人、そしてオイラ

    お世話になっているシローさんのblog「maclalalaweblog」の記事に「アップル流マスコミ操縦術」という面白い記事がありました。

    かなり強烈な内容ですので、心して読んで下さい…

    秘密主義で有名なAppleなんですが、Appleが小出しにする新OSに関する情報や「新製品」に関する情報の出し方が綿密に計算されていたと同時にマスコミや一般人(ここではブロガー)をも巻き込んでの「マスコミ対策」に関する記事がとても面…

    コメント by Retro@Diary 〜Rev.B〜 — 2006年 9月 4日 @ 22:50

  4. シローさん、こんばんはです。
    シローさんの記事を参考にさせて頂きました。

    blogを書いている者として、すごく考えさせられる記事でした。
    オイラがblogを始めたのは、Macという一つのコミュニティーの中に入ってみたいというのがありました。
    実際、blogを書いて、その時以上に皆さんからコメントを頂いたり、TBをし合ったりで楽しく過ごす事が出来てます。

    難しい事は正直よく分かりませんが、「楽しく」というのを肝に思い、今後もやっていきたいと思っています。

    コメント by retro — 2006年 9月 4日 @ 22:56

  5. Monkey

    と言えばGeorge Michael…

    コメント by Mac!!Mac!!Mac!! — 2006年 9月 5日 @ 03:22

  6. > retro さん
    興味深く 読ませていただきました
    「護身術」だというのは まったく同感です

    元の記事は どちらかというと アップルではなく メディアに対して 向けられているように 感じましたがどうでしょうか

    それにしても ことばの激しさは 日本語に直してみると やっぱり強烈ですね

    コメント by shiro — 2006年 9月 5日 @ 07:03

  7. 遅ればせながら素晴らしい記事なのでTBさせて頂きました(笑)。

    コメント by +.k代表(プラスドットケイ代表)=the bloger formerly known as macuser — 2006年 9月 5日 @ 12:08

  8. シローさん、どうもです。

    >>元の記事は どちらかというと アップルではなく メディアに対して 向けられているように 感じましたがどうでしょうか

    そうですね…f(^^)
    自分の記事で上手く表現出来ませんでした…
    メディアに向けられたメッセージですよね。
    何故か書いている内にAppleに対する記事になってしまいました。(汗)

    それにしても攻撃的な日本語ですよね。
    シローさんの記事を読んでいて強烈に思いました。

    コメント by retro — 2006年 9月 5日 @ 22:46

  9. ipod nano 8GB

    突然のトラックバック失礼いたします。ipod nanoの8GBが、出ると噂がでているけどその中で、動画はあの大きさでい大じょうぶかな?と思ったけど今の大きさで行けるのでは!

    コメント by アイポット ナノの使い方 — 2006年 9月 7日 @ 23:22


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