maclalalaweblog

2006年 5月 3日

アップルがデスクトップを制覇するための究極の秘策

appleadobe

Robert X. Cringely が連続して繰り出すパンチが冴えている。

先週 Cringely は、OS X 10.5 に Windows API を実装することによってマックで Windows が動くようにするだろうと書いた。

PBS:”Native Speaker: There May Be an End-run for Apple Around Windows After All” by Robert X. Cringely:4月20日

事情をよく知っていると自認するひとたちは、Cringely が書いたものを読むと居ても立ってもいられない気持ちになるようだ。「そんなバカなことがあるか」という訳だ。

Daring Fireball の John Gruber もそのひとりだ。

Daring Fireball:”Several Asinine and/or Risky Ideas Regarding Apple’s Strategy That Boot Camp Does Not Portend” by John Gruber:4月10日

Cringely のような輩(やから)は、マイクロソフトとアップルのことを大袈裟なドラマに仕立てて、テクノコラムを書くネタにしているのだと手厳しい。

いちばん直裁(ちょくさい)な反発を示したのは Buzz Out Loud の Veronica Belmont だろう。

Buzz Out Loud from CNET:”BuzzCast 04/21/06 – Tom is lazy“:4月22日[ポッドキャスト → Download MP3

そんなバカな! そんなこと起きるわけないでしょ。マイクロソフトが許さないわよ。・・・ 決して。 あ〜、クリンジリー、気が狂いそうだわ! 本当よ!

Stop being crazy!  That’s not going to happen.  Microsoft would not allow that happen…  There is no way.  Ah! Cringely, you drive me crazy! You really really do!

ポッドキャストのせいもあって、生の感情が良く伝わる。

      *      *      *

今週の Cringely は、アップルがデスクトップの覇権を握るための秘策を披露している。なんと Adobe を買収しろというのだ!

PBS:”Killer Apps: For Apple’s Windows Strategy to Work, It Must Replace Microsoft Office and Buy Adobe Systems” by Robert X. Cringely:4月27日

Cringely にペンを取らせた背景は二つある。ひとつは、マックで Windows が動くことをアップルが「公然と」(Boot Camp で)認めたこと。このあとアップルがどこへ向かうのか興味津々(しんしん)という訳だ。もう一つは、アップルが Apperture の開発チームの首をすげ替えたこと。いったい何があったかという訳だ。

      *      *      *

今週の Cringely のタイトルは「キラーアプリ」(Killer Apps)だ。

この大胆な戦略[注:Mac OS X に Windows API を実装する]は、来年一月に Windows Vista なるものが出荷されても、それは実のところ Windows XP SP4 に新しい名前を付けたにすぎないという非常に蓋然性(がいぜんせい)の高い予想を踏まえているものだ。マイクロソフトはあまりに肥大化し、麻痺しすぎたので、そうなる可能性が大なのだ。ここで欠けているのは、マイクロソフトの OS 戦略に対しアップルがどんなアプリケーション戦略(application strategy)で応えるかという視点だ。というのも、マイクロソフトの本当の力の源泉は Windows ではなく Microsoft Office にあるからだ。幸いなことに、アップルには「アプリケーション計画」があり、しかもそれが稼働中だと私は信ずる。それをここで説明していきたい。

This bold strategy is based on the high probability that — if something called Windows Vista ships at all next January — it will really be Windows XP SP4 with a new name. Microsoft is so bloated and paralyzed that this could happen, but what’s missing is an Apple application strategy to go with this operating system strategy, because Microsoft’s true power lies not in Windows, but in Microsoft Office. Fortunately for Apple, I believe there is an application plan in the works, and I will describe it here.

今日の Windows は以前に比べてセキュリティの面でより脆弱(ぜいじゃく)になっている。Windows は、上り坂の OS というより、それに堪えて付いていかなければならない代物(しろもの)になっている。

The two key differences between that time and this are that Apple isn’t IBM, and this isn’t 1989. Windows is far more vulnerable today than it was then from a security standpoint. Rather than being an OS on the way up, as it was then, today Windows is the OS we tolerate.

Microsoft Office がなければ、マイクロソフトは時代遅れで安全性に欠ける OS を持った会社というに過ぎない。もしアップルが、本気で Windows ユーザーを獲得する気があり、そのためにはマイクロソフトと真正面からぶっつかることも辞さないということなら、アップル版の Office を作るという考えを場合によっては引っ込めて、ウインドウズ版の Office が不思議なことにマックでも動くと認めるぐらいでなければならない。もっとも、そうなりそうにない理由はいっぱいある。マイクロソフトがインテルマック用 Mac Office に力を入れる(それは Windows が動くということでもあるのだが)というのもそのひとつだ。そんな Office は[異なるプラットフォームにまたがる]ハイブリッド製品であり、ウインドウズ版より見栄えがよく、尚かつ 100 %の互換性があり、しかもマイクロソフトに新規に大きな利益をもたらすのだ。これこそマイクロソフトがアップルに対して破壊的行為に出るのを防ぐニンジンの役割を果たすものだ。

Without Office, Microsoft is just a company with an archaic and insecure OS. If Apple does go ahead to compete head-to-head with Microsoft for Microsoft’s own Windows customers, Cupertino will have to be ready in case Mac Office is withdrawn and Windows Office mysteriously breaks on Apple hardware. There is a good likelihood this won’t happen, especially if Microsoft can find a way to rev Mac Office for IntelMacs sorta running Windows — a hybrid product that would look better than the Windows version while retaining 100 percent compatibility and generating an enormous new revenue stream for Redmond. This is the carrot Apple will use to keep Microsoft from doing something truly destructive.

しかしながら、Microsoft Office の代替品を作ったからといって問題が解決する訳ではない。アップルのアプリケーション構成にはまだ脆弱性(application vulnerability)がある。一般事務ソフトについてマイクロソフトに頼っているように、コアとなるメディアやグラフィックソフトについても、アップルは Adobe に頼っているのだ。

But finding an alternative to Microsoft Office won’t fully solve Apple’s application vulnerability. That’s because for its core media and graphics markets Apple is as dependent on Adobe as it is Microsoft for the general office market. And now that Adobe owns Macromedia, Apple is even more vulnerable.

それなのに、Adobe はアップルと一定の距離を置いているようにみえる。

Steve Jobs は、Windows のアプリケーションがアップルのハイブリッドなプラットフォームで猛烈なスピードで動くことを望む一方、そのソフトがクズみたいなひどいものに見えることも望んでいる。単に抜け穴をうまく利用してではなく、実力でマイクロソフトを打ち負かしたいと、Jobs は心の奥底で思っているのだ。したがって、OS X のソフトを作っている独立系ソフトウェア会社(ISV = Independent Software Vendors)の筆頭については、これからも OS X のソフトを作り続けてもらわなければ困るのだ。他でもない、Adobe のことをいっているのだ。

Steve wants Windows applications to run like crazy on his hybrid platform but to look like crap. In his heart of hearts, he’d still like to beat Microsoft on the merits, not just by leveraging some clever loophole. So he needs the top ISVs who are currently writing for OS X to continue writing for OS X, and that especially means Adobe.

ma

確実にそうする方法はたったひとつしかない。アップルが Adobe を買収することだ。

There’s only one way to make that happen for sure, and that’s for Apple to buy Adobe.

・・・Adobe 買収案はこういうことなのだ。

アップルにはたっぷりカネがあるから、難しいことではない。マーケットだってよろこぶだろう。そうなれば、Adobe の Premiere はやめて Final Cut Pro の勝ちになるだろうし、Aperture はボツにして Photoshop が王座を占めることになるだろう、と Cringely はいう。

そして、最後をつぎのように結ぶ。

ほら、今週アップルが Aperture 開発チームを全員首にしたというもそういう訳じゃないのか。

Hey, could that be why Apple is rumored to have this week just laid-off its entire Aperture development group?

かもしれないぞ。

Could be.

      *      *      *

ここでは割愛したが、マイクロソフトがマック版 Internet Explorer から手を引くのに備えて Safari を開発したことや、インテルから AMD へのスイッチをも視野に入れたコンティンジェンシープラン(非常事態計画、contingency plan)について言及しているところもおもしろい。

本当の意味でのオープンフォーマットとは、ソフトメーカーがなくなってもなおドキュメントファイルが読めるようなものでなくてはならないと論じているところや、それにも拘らずオープンという点で問題のあるマイクロソフトの Open XML format(次期 Office バージョンに搭載予定)をアップルが支持し、なおかつ ECMA への提出まで支持した背景にある深謀遠慮に触れているところも実に興味深い。

例によって、Cringely 流のおもしろい話がこれでもかと随所にちりばめられているが、残念ながらここでは割愛する。

Cringely の面目躍如(めんもくやくじょ)というところだが、こんどはどんな「反発」を招くだろうか。

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1件のコメント »

  1. TB:アップルがデスクトップを制覇するための究極の秘策

    興味深い海外のニュースや情報の翻訳で、いつも楽しく読ませていただいている『maclalalaweblog』に、Appleの次にとるべき戦略について、Robert X. Cringelyの大胆な予想と提言を紹介されています。まぁ、昔から言われていることではあるのですが、現在の無借金経営で多額なキャッシュフローがある状況ならば、不可能ではないですね。

    ●【アップルがデスクトップを制覇するための究極の秘策】

    Steve Jobs は、Windows のアプリケーションがアップルのハイブリッドな…

    コメント by 平成鸚鵡籠中記・別館 — 2006年 5月 3日 @ 16:31


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