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2006年 4月 22日

アップルを訴えた Burst とは何者か

Filed under: 特許 — shiro @ 17:09
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underdog

アップルの訴訟を真っ向から受けて立った Burst.com について、どう考えたらいいのかみな迷っているようだ。

ビジネスウィークが大変興味深い記事を載せている。「アンダードッグかパテント荒らしか:ソフトウェアハウスだった Burst.com がどうして技術の巨人アップルを訴えるようになったか。」

BusinessWeek:”Underdog Or Patent Troll?: How Burst.com went from making software to suing tech giants ” by Peter Burrows:4月24日

「アンダードッグ」(Underdog)とは負け犬のことだが、負けを承知で大きな相手に挑んでいく、ある意味で愛すべき存在として捉えられることが多い。日本でいえば判官びいきの判官義経だ。

一方、「パテントトロール」(Patent Troll)とは、特許を保有するだけの会社で、訴訟を起こしてはライセンス料を稼ぐ特許料稼ぎ、パテント荒らしのことだ。

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気ままなライフスタイル

ビジネスウィークの記事は、気ままな暮らしをする Burst の Richard Lang の描写から始まる。

サンフランシスコの北、セバストポリのリンゴの木の植わった11エーカーの土地に住み、地元のバンドでギターをひいたり、奥さんと一緒に乗馬を教えたりする。まだ若々しい顔の52才ののんびりしたカリフォルニア住民だ。

しかし、こと Burst のこととなると微塵ものんびりしたところはない。18年前に設立、二人しか従業員はいないが、10の特許を持ち、大会社に技術のライセンスを持ちかけては、断られると訴訟も辞さない。

But there’s nothing laid-back about his strategy at Burst.com, the Santa Rosa (Calif.) company he co-founded 18 years ago. With just two employees, Burst holds 10 U.S. patents, and its focus is on asking big companies to license its technology — and suing them if they don’t.

昨年3月にマイクロソフトから 6000 万ドルの和解金を勝ち取ったことで Burst は一躍有名になった。つぎのターゲットはアップルだという。Lang によれば、アップルは歌やビデオといったデジタルコンテンツをネットワーク上で超高速に配信する Burst の特許を侵害しているという。音楽配信で肥え太ったアップルから分け前を分捕るべく、和解に至らなければ4月中旬にも訴訟を起こすつもりだという。[注:Burst の反訴以前に書かれた記事と思われる。]

In March, 2005, Burst won a $60 million settlement from Microsoft Corp. The next target, Lang says, is Apple Computer Inc., which he says infringes on Burst’s patents covering superfast transmission of content, such as songs and video, over networks. He’s seeking a chunk of the tech giant’s burgeoning music revenues, and says he plans to sue in mid-April if no settlement is reached.

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技術的に見た Burst.com

Lang の対応は物議をかもしているが、千里眼を持つ技術者としての業績はすばらしい。ケーブルテレビに 500 チャンネルを詰め込むのが世の関心事だったころ、彼がやっていたことはデジタルネットワークを使って効率的かつ確実にコンテンツを配信する方法だった。Lang は、実際に番組を見るのにかかる時間より短い時間で番組を配信できると確信していた。一定速度のストリーミング(streams)ではなく、バースト(bursts =爆発してほとばしるように)だ。そうすれば瞬時に増大するネットワークの容量を利用できる。1991 年の CES では実際に 15 分の PBS ドキュメンタリーを隣のブースのテレビに数秒で送ってみせた。「ほかのひとではできないことをやって見せたのだ」と技術専門家の Robert X. Cringeley[まま]はいう。

While Lang is controversial, his record as a tech clairvoyant is impressive. When the rest of the world was focused on stuffing 500 channels onto cable TV, he was devising ways to use digital networks to deliver content more efficiently and reliably. Lang recognized that shows could be sent faster than they could be viewed — in “bursts” that took full advantage of momentary increases in network capacity, rather than in constant “streams.” Indeed, at the 1991 Consumer Electronics Show, Lang drew a crowd with a demo in which 15-minute segments of a PBS documentary were zipped to a TV across the booth in seconds. “They were demonstrating things that other people couldn’t do,” says tech pundit Robert X. Cringeley.

時代に先駆けすぎた

アップル、マイクロソフト、リアルメディアといった業界の巨人たちは、1990 年代、いわゆる「リアルタイムストリーミング」(real-time streaming)を完成させようとやっきになっていた。それは往々にして解像度の低い小さな画像にすぎなかったけれど。Lang のとった手法が受け入れられるにはまだ時間がかかった。「我々は物事の起きている埒外(らちがい)にいた。1990 年代末になってもまだみんな理解できなかったのだ」と Lang はいう。

After spending the 1990s trying to perfect “real-time streaming” of content — often in low resolution with tiny images — titans including Apple, Microsoft, and Real Media have since embraced Lang’s general approach. “We were so outside the box that even in the late 1990s, people didn’t get it,” says Lang.

90 年代の終わり頃になると、Lang の会社は 110 人の従業員を抱えるほどに成長し、Burstware と呼ばれるバッケージソフトを販売するようになった。そこへマイクロソフトが登場した。2000 年にマイクロソフトが Media Player をアップグレードしたとき、突如 Burst の主力商品は動かなくなった。Lang はマイクロソフトが意図的にやったと確信しているが、マイクロソフトはそれを否定している。ともかく、Burst は文字通り爆発してしまった。顧客は去り、二回目の株式公開に 7000 万ドルを用立てようとしていた銀行も去った。数ヶ月もしないうちに、4人を残してみな解雇された。マイクロソフトになんとかライセンス契約を結ぶよう懇願したが、「マイクロソフトは、他の大会社同様相手が疲弊するのを待つ手段にでた」と Lang はいう。マイクロソフトがバーストについて書いたあるEメールには、同社の状態を「終わるよ、終わるよ、はい終わり!」[注:オークションの一番最後の言葉]と書いてあったという。

By the late ’90s his company had grown to 110 employees and was selling a software package called Burstware. Then, Microsoft got in the way. When the software giant upgraded its Media Player software in 2000, suddenly Burst’s key product stopped working. Lang is certain it was on purpose, a charge Microsoft denies. Regardless, Burst nearly went bust. Customers backed away, as did bankers who had been arranging a $70 million secondary offering for the company. Within months, he’d laid off all but four staffers and was begging Microsoft for a licensing deal. “Microsoft, like many big companies, wants to wear out their opponents,” says Lang. In one e-mail, Burst’s contact at Microsoft reported that the company was “going, going…”

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ソフトハウスからパテント荒らしへ

しかし、Burst はなんとか生き延びた。2001 年に発売された Windows Media Player が Burst の技術を侵害していると確信して、会社が潰れないように投資家の資金を集め、2002 年6月に訴訟を起こす道を選んだのだ。マイクロソフトは法的責任は認めなかったが、6000 万ドルの和解には応じた。和解に応じたのは、同社の証拠隠滅について審問が予定されていた日の前日だった。トロール(特許荒らし)によってすごい大金を獲得したが、奇妙なことに Lang 個人は、和解金の一部、250 万ドルを手にしただけだった。

Burst survived, though. Convinced that a 2001 release of Windows Media Player infringed on Burst’s technology, Lang got an investor to put up $1.5 million to keep the company afloat as it pursued a lawsuit, filed in June, 2002. Without admitting liability, Microsoft agreed to the $60 million settlement a day before a hearing on whether it had destroyed evidence. Although the myth is that trolls get fabulously wealthy, Lang personally ended up with just a fraction of the settlement proceeds, $2.5 million.

マイクロソフトに勝ったことで特許権の有効性が証明されたと考えた Lang は、つぎの訴訟相手を探した。最初に選んだのがアップルだった。たっぷりカネを持っているからというだけではない。アップルが彼に接触してきたのは 1991 年のトレードショウのときだったが、その後も Burst は 1999 年、2000 年、2002 年と何度もアップルと話し合った。「アップルの態度はマイクロソフトや他の会社とまったく同じだった。[Burst の技術を]ただ同然にしない限り、たとえ十年でも戦ってお前をやっつけてやる」と。

Believing the victory validated his patent claims, Lang has expanded his search for licensees. Apple was his first stop, and not only because of its deep pockets. Apple reps had approached him at a trade show back in 1991, and Burst met with Apple in 1999, 2000, and 2002. “The attitude is exactly like it is at Microsoft and everywhere else. If you won’t take next to nothing [for Burst’s technology], we’ll fight you for the next 10 years,” he says.

jackrussell

そんな長期戦になるのかもしれない。Burst の特許はまだ法廷で開示されたことがない。それにアップルは恐るべき相手だ。でも、「外見が気楽に見えるからといってそれがすべてじゃない、私にはテリア犬[注:愛らしいが機敏で恐れを知らない面もある]みたいなところだってあるんだから」と Lang はいう。

That may well be what happens. Lang’s patents have never been upheld in court, and Apple will be a formidable foe. But he insists his easygoing style doesn’t tell the whole story: “I’m a bit of a terrier.”

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なんとも劇的な変化を遂げた会社だ。

真実はどちらの側にあるのか分からないが、特許という制度が持つ負の側面を見るようだ。

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